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ロードバイクでサイクリングを楽しんでいる時、坂道で急に脚に力が入らなくなることがありませんか?

ロードバイクでサイクリングを楽しんでいる時、坂道で急に脚に力が入らなくなることがありませんか?

吉備国際大学 川上 照彦

 最近よくロードバイクでサイクリングを楽しまれている方をみます。このロードバイクの競技会が高知県でも毎年行われており、今年も4月12日に、いの町で“UFOラインアタックVOL.8”が予定されているようです。長年ロードバイクを楽しんでいる方に、何か変だな、普通に歩いている時は問題がないけれど、ロードバイクに乗っている時、特に坂道を上るときなど急に片方の脚に力が入らなくなる、ということで整形外科を受診される選手がいるようです。

 これは、脚に血液を供給する外腸骨動脈という血管が、線維化をおこし、内腔が狭くなって起こるのですが(図1)、この病気の概念を知らないと、整形外科医は腰椎での神経の圧迫ばかり探して、原因がわからないということになります。この疾患は、長時間・高強度の自転車トレーニングを行うサイクリストに多く、ロードバイクで前屈姿勢をとり、ペダルを踏むことにより、股関節の屈伸を繰り返すと、同部位の動脈、外腸骨動脈が刺激をうけ、線維化し、内腔が狭くなって、運動に耐えうるだけの血液を筋肉に供給することができなくなり、急激な疲労感を感じるというもので、まだ正式な日本語の病名はついてないようですが、英語名を訳すと、“外腸骨動脈内膜線維化症”ということになります。高強度の運動時、股関節を深く曲げた時に動脈が閉塞され症状をきたすというものですから、普通の歩行時には症状が出ないのが一般的です。

 典型的な症状は、坂道登攀など強い負荷がかかった時、多くは片方の脚が急に動かなくなり、窒息したような痛み、しびれ、脱力感を生じますが、休むと1分程度で症状が消えるというものです。治療は、自転車での運動量を減らし、血管拡張剤を服用してみる、といったことですが、改善が見られず、競技生活を続けたいならば手術が選択されます。
 この疾患は、東京オリンピックに出場した與那嶺恵理選手(図2)が発症して知られるようになりましたが、まだまだ一般的ではなく、症状があり、お困りの選手は専門医の受診をおすすめします。