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2年振りに開催された第77回国民体育大会(栃木県)レスリング競技に帯同して

2年振りに開催された第77回国民体育大会(栃木県)
レスリング競技に帯同して

理学療法士 木下雄介(介護複合施設 輝)

 新型コロナウイルス感染症の流行以来、国体の本大会は2年連続で延期・中止され、3年ぶりにコロナ禍の中、第77回国民体育大会(栃木県)が開催されました。今回、レスリング高知県代表チームにトレーナーとして帯同させて頂きました。
 参加するにあたり選手、チーム関係者は、最初に会場を訪れる日の5日前までにPCR検査を受けることが義務付けられました。その後も抗原検査を受けるなど感染対策の実施、又専用アプリをインストールしPCR検査、抗原検査の結果登録、2週間前からの体温・体調記録、会場入口でのアプリの提示、検温・消毒が必要でありました。
 レスリングは試合当日会場での計量をパスしなければ失格になるため、身体に過度な負担がかからない減量戦略を練る必要性があり、選手によっては宿舎の食事は取らず、自分で準備した物を摂取するなどグラム単位で自分にあった取り組みを行っていました。普段からの自己管理能力が必要とされ、競技とは別の戦いが存在していました。(以前は試合前日計量でその後食事を自由に摂取できたようですが)
 今回トレーナーとしての役割は、試合前のテーピングの施行(頚部、肩、膝、手指等)、勝ち上がれば1日数試合することから、試合間や宿舎でのストレッチ、マッサージ等のケア、選手からの体調管理の相談、助言を行いました。激しく怪我がつきものの競技で、救急搬送される事態も生じることがありますが、幸い高知県選手に大きなトラブルもなく競技日程を全うすることができ、優勝2名、準優勝1名、3位1名、5位2名、総合11位と過去最高の成績をおさめる事が出来ました。
 高知県少年選手の特徴は、他県の選手より身体の線が細い(筋肉量が少ない)ながら好成績がおさめられた技術力の高さにあるようです。筋力トレーニングは主に自重でのトレーニングを行っています。他県ではバーベル、ダンベルを用いたフリーウェイトの筋力トレーニングがあたりまえに行われ、胸板や上腕、大腿部の大きさには大きな違いがありました。パワーの差を技術力でカバーする基礎技術の積み重ねが高知県選手の強みで好成績の要因であると感じました。今後、技術+パワーが備われば更なる強さを身につけることでしょう。