アスリートと足・靴 ―そのサンダル大丈夫?―
スポーツ医・科学 委員会
アスリートと足・靴 ―そのサンダル大丈夫?―
ひろせ整形外科リハビリテーションクリニック 廣瀬 大祐
マラソンとバスケットボールでは当然ながら靴に求められる機能も大きく違います。スポーツ種目や自分自身の能力やポジションに応じた靴を選ぶと思います。
アスリートは、高い運動能力を発揮するために足に負担をかけることが多く、足の病気になりやすい状況にあります。選手の能力を発揮させるとともに、障害から守ってくれます。
足の病気の原因は床反力の問題と足を含んだ下肢全体のクッション性能です。床反力は、物体(人体)が地面に力を加えると、地面から同じ大きさで逆方向の力が物体に働く力のことを指します。歩行、走行、ジャンプなどの動作中に、足が地面に力を加えることで、地面からは同じ大きさで逆方向の力が足に作用します。床反力は、運動の安定性や効率性に大きく影響するとともに、足や膝関節、股関節などの関節や筋肉にストレスを与えます。下肢全体のクッションの中でも母趾・小趾・踵の3点で床と接触、それを支える足底腱膜の縦・横のアーチ構造は非常に重要です。
運動の際に床反力を適切に管理することや足部のアーチ構造を維持、強化することは、怪我の予防や運動パフォーマンスの向上に役立ちます。
しかし、競技以外ではどうでしょうか、寮や合宿などでサンダルばきをよく見かけます。
一般的なビーチサンダルはクッション性や土踏まずのアーチサポートが十分ではありません。サンダルで歩いている時どの様に歩いているでしょうか。サンダルが脱げないように、足の指を浮かしてつま先を上げる感じで歩き、足首を使わず踵をずって歩きがちです。サンダルは踵を止めるものが無いものが多いですし、スリッパも同様です。サンダルを履いている時に限らず現代人は足の指を使わずに歩いている人が多いと言われています。この結果として巻き爪を引き起こします。
運動にあわせた専用の靴を履くことは重要で、ランニングをするときにスパイクをはいたりすると、競技でもないのに無駄な床反力を骨格にあたえることになりますのでできるだけトレーニングにあわせて靴を履き替えることが重要です。
競技中でないトレーニングにおいては、足底装具を作り、できる限り足裏に加わる圧力を分散して運動を行う事が重要です。競技の際にパフォーマンスを向上させる装具と怪我を予防する装具は全く作りが違います。パフォーマンスをあげるということは関節を固くして力を発揮できるようにすることであり、床反力の大きい場所でこのような装具を履くと怪我の原因になりますので注意が必要です。
競技、トレーニング、オフとそれぞれに合った靴やインソールを考えてみましょう。