スポーツにおける相対的エネルギー不足(REDs)
スポーツ医・科学 委員会
スポーツにおける相対的エネルギー不足(REDs)
スポーツ栄養士 大坪 豊寿(龍馬学園看護ふくし専門学校 講師)
REDsは、利用可能エネルギー不足(LEA)の状態にあるアスリートの健康とパフォーマンスに悪影響が生じた状態を表す症候群です。この問題について国際オリンピック委員会(IOC)は2014年にREDsを提唱し、2018年にはエビデンスに基づきコンセンサスレポートの改訂、2023年には170件以上を超える研究の進展などからコンセンサスステートメントおよびそのレビューを英国スポーツ運動医学会の「British Journal of Sports Medicine」に掲載をしています。その中には「炭水化物が最も不足している」「男性もREDsのリスクがある」ということが書かれており、今回その原因や対策の一部を紹介したいと思います。
スポーツ選手に限らず、成長期・思春期の身体には「運動によって消費されるエネルギー」に加えて「身体を成長させるためのエネルギー」も必要です。しかしながら「朝食を食べない」「ご飯の量が少ない」、「体重が増えたからダイエットを考える」といった選手がいます。REDsの自覚症状・他覚症状は、性別を問わず貧血や骨量減少、メンタルヘルスの変化などがよく現れます。その他にも、性ホルモン減少・腹痛・尿失禁の症状・睡眠障害・起立性低血圧・うつ・食行動のみだれ・記憶力の低下・免疫機能の低下などを伴い、さまざまな経路で健康が蝕まれてしまいます。このような状態ではパフォーマンスに悪影響を及ぼします。
REDsを防ぐためには、エネルギー不足に陥らないようご飯を中心とした食事を3食しっかり食べる事が重要です。糖質であるご飯をしっかりと摂取することで、糖質不足による貧血の危険性を少なくすることができます。また、体重を毎朝排尿後の決まった時間に測定し、体重が減少していればエネルギーが不足している可能性があります。また身長が伸びたのに体重が変わらない場合も注意が必要です。女子選手はエネルギー不足になっていないか「FATスクリーニングシート」や「女子アスリートダイアリー」を活用して自分の身体の状態を常に把握することも重要です。
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