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スポーツと爪

スポーツと爪

スポーツドクター 廣瀬 大祐(ひろせ整形外科リハビリテーションクリニック)

 野球のピッチャーは球に回転をかけるために少し爪を伸ばしており、二枚爪になったり爪が割れたりする事もあります。指と爪を使ってボールコントロールを行なっているので爪のメンテナンスにはとても気を遣います。サッカーやバスケットボール、ゴルフ、柔道やラグビーといったスポーツでも、足を踏ん張る際にかかる圧力を適切にする為に、爪が重要な役割をはたします。割れたり、はがれたりしていると力が入らず、集中力も欠くことになります。その為、結果を残したり記録を伸ばしたりする為には丈夫でトラブルのない爪が必要不可欠となるのです。
 例えば、バスケットボールをプレイしていて「足を踏まれた」とか「つま先にボールが当たった」とか、そういった突発的なアクシデントを除けば、足の爪が痛くなる一番の原因はその「激しい動き」にあります。バスケットボールのように「ストップ&ゴー」や「急激な切り返し」といった動きを頻繁に繰り返すスポーツでは、つま先への衝撃や負担が大きくなります。このような激しい運動を何度も繰り返すことで、足の爪が内出血を起こしたり、足の爪が割れたりするといったアクシデントが起こります。
 しかし、爪のトラブルにはいくつかの原因があり、それを防ぐことが非常に重要となります。
 爪のケアの基本は爪の保湿と正しい爪切りです。爪は乾燥した状態が続くと、亀裂や割れ、欠けが起こりやすくなります。これらの爪トラブルは、他の症状を連鎖的に引き起こしてしまうため、特に注意が必要です。爪の切り方にも注意が必要です。爪を短く切りすぎる「深爪」の状態が続くと、爪の両端が皮膚に埋もれやすくなります。こうなると歩くたびに爪の両端が皮膚に押され、結果として巻き爪が進行したり、爪囲炎(化膿)を引き起こしやすくなります。
 適切なシューズの着用は必須になります。先端がキツすぎると爪を圧迫し爪の内出血を起こし、巻き爪の原因となります。緩い靴でも、靴の内側で爪が継続的に当たり、巻き爪を引き起こす原因となります。
 足の指を地面につけないまま歩くタイプ(いわゆる「浮き指」)の人の足には、巻き爪が多いことが知られています。本来、歩くときに足指が地面からの力を受けることによって、爪はなだらかなアーチ形に保たれています。この力が不足してしまうと爪は丸まった変形を起こしてしまいます。スリッパでの歩行も足の指を浮かす原因となるので注意が必要です。
 爪にも注意してパフォーマンスを高めましょう。